お知らせ
公開日:2020.02.05
【三条】世界の都市での道路空間のデザインを知る ~まちカフェ開催レポート~
地域の親交を深めながら、より良い三条通界隈の町並みをつくろうと活動されている「京の三条まちづくり協議会」。
節分もちつき大会や、お神輿祭りなど、毎年行われる季節行事には、地域の内外からたくさんの方々が参加されています。
そんなイベントのひとつとして年に数回開催されているのが、京都文化博物館を舞台とした「まちカフェ」。毎回さまざまなテーマを設け、その分野の専門家の方をお招きして、お話を聴きます。
申し込み不要、無料でどなたでも参加できるこのイベント。2019年には、“三条通の7つの町の由緒”、“明治期における三条通”などがテーマにされてきました。
そして2020年1月、今年初の開催となるまちカフェのタイトルは、「世界の歴史都市にみる道路空間再編とデザイン」です。
講師をつとめるのは、京都大学工学研究科 准教授の山口 敬太先生。
近年、世界各地で急速に進んでいる“歩行者のための道路空間の再編”について、パリやロンドン、ウィーンなど、世界中の事例をご紹介いただきました。
そのイベントの様子について、お伝えします。
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会場となるのは三条通のシンボル、京都文化博物館。
このの入口から入ってすぐ左の階段を上がった、別館2階会議室が会場です。
当日は受付開始とともに多くの人が訪れ、開始時刻には会場は満員に!
急遽、席が増設されるほどの盛況ぶりでした。
20代から70代まで、幅広い年齢層の方々が訪れました。
今回、山口先生が紹介してくださった道路空間利用の事例は、主にヨーロッパが対象となります。
まずは背景にある、欧州の宗教的、そして都市計画的な「広場」の役割の移り変わりについて、説明がありました。
このまちカフェのために先生が用意してくださったスライドの枚数は、なんと200枚以上!
各国の取り組みの例や、時代による移り変わりを写真で見比べることで、とてもわかりやすく知ることができました。
鏡のように空を写しこむ水面が広がる広場や、港に面し、海を眺めることができる広場。ダンスやパフォーマンスの舞台としても用いられる、広大な広場。
さまざまな国の憩いの空間としての“広場”の事例を見ていると、まるでヨーロッパ中を旅しているかのような、ワクワクとした気分になれました。
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「道路空間を、人と車でどのように共有していくか?」
この問いについて考えるため、ヨーロッパではさまざまな社会実験が行われています。
こちらは、ウィーンの事例。
道路が歩行者のための空間となり、人びとが集うことができるベンチが置かれています。
フランスのパリでは、エリアごとに時期や時間を細かく分けて、車両の交通規制が行われているそうです。
欧州では、車が排出する二酸化窒素による大気汚染が大きな社会問題となり、その対応が急務とされています。
「車両規制がかかると、その他のエリアが渋滞してクレームが出るのでは?」とも考えてしまいますが、
「渋滞してもいい。むしろ、渋滞した方が、車が減る傾向にあっていい。」と、行政サイドが率先して、交通車両の削減に取り組んでいるそうなのです。
これにはびっくり!
これからの社会のことを考えると、このように思い切って発想をシフトしていかなくてはいけないのだろうな、と考えさせられました。
先生によると、このような事例を通して感じるのは、人々のあいだに“空間や場所をシェアする楽しさ”が広がっていること、だそうです。
公共空間が人々の共有の場や、出会いの場としてのはたらきを持ち始めており、今後は、このような動きが日本でもブームになっていくだろう、とお話しされていました。
山口先生は現在、京都の久御山町で、場所づくりのプロジェクトを進行されているそうです。
このような世界各地の事例を活かし、共有できる場所づくりに取り組んでいらっしゃるとのこと。新しい“広場”の誕生が楽しみですね。
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時間いっぱいまでお話いただいた、大充実のまちカフェ。
最後に、京の三条まちづくり協議会会長・京都景観フォーラム副理事長の森本 浩行からあいさつがあり、閉会となりました。
まちカフェは年に数回、定期開催しています。
京の三条まちづくり協議会のサイトから最新のイベント情報もご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
▼京の三条まちづくり協議会
http://www.sanjyo-kyo.jp
■過去に三条通で開催されたイベントの様子は、こちらからどうぞ!
【三条】竹の「結界」を作ろう!~京の三条まちづくりカフェ~
https://kyotokeikan.org/2019/12/05/1984/
【三条・近代建築WEEK 2019】スマホで三条 まちなみの変遷発見ラリー
https://kyotokeikan.org/2019/10/04/1888/
【三条・近代建築WEEK 2019】シンポジウムレポート《前編》~まち歩き・建築ガイドツアーの企画と運営~
https://kyotokeikan.org/2019/10/01/1837/
文・写真:土谷 真咲(京都景観フォーラム 広報チーム)