エリマネネット
公開日:2025.06.30
【活動報告会】 能登半島地震報告会~エリマネが感じた能登~
2025年6月22日、ひと・まち交流館京都にて、「能登半島地震報告会~エリマネが感じた能登~」が開催されました。京都景観エリアマネージャーの自主的活動「能登支援チーム」による本企画には、地域づくりや復興支援に関心を寄せる参加者が集い、発災から1年半が経過した能登の現状とこれからについて、活発な意見交換が行われました。京都景観エリアマネージャーのネットワーク(通称:エリマネネット)もこれらの活動を応援しています。
地域の特性と災害の爪痕
会の冒頭では、令和6年元旦に発生した能登半島地震およびその後の水害により、大きな被害を受けた地域の状況についての解説が行われました。珠洲市や七尾市などでは、元々高齢化と人口減少が進む中、老朽化した建物が多く、地震による倒壊・半壊被害に加え、9月の豪雨では仮設住宅が浸水するなど、二重の苦難に直面しています。
“関わり続ける”支援のかたち
続いて、福井悠斗さん(大阪大学大学院・京都景観エリアマネージャー)から、七尾市でのボランティア活動について報告がありました。避難所での物資配布やヒアリング、仮設住宅での交流など、地道な活動の積み重ねが紹介される中、「単発ではなく、継続的に関わることの大切さ」を語る福井さんの姿勢に、参加者からも共感の声が上がりました。
合理性より“寄り添い”を
篁正康さん(一級建築士・京都景観エリアマネージャー)は、発災直後から珠洲市を中心に現地入りし、現地での支援活動を行ってきました。報告では、倒壊したまちなみの調査や住民の生活再建支援の様子が語られ、「復興には効率や合理性以上に、被災者一人ひとりの心に寄り添う姿勢が求められる」と強調しました。また、「行ってみよう」「やってみよう」という空気を広げることが、地域の持続的支援につながると語りました。
意見交換と未来への視点
後半は参加者との意見交換が行われ、行政の復興支援策とボランティア活動のマッチング、公費解体と歴史的建造物の保全、被災後の地域の活用のあり方など、具体的かつ多面的な議論が交わされました。中でも、「地域のまちなみをどう残し、それを次の世代にどう活かすか」という視点は、京都の景観まちづくりにも通じる重要な問いとして共有されました。
ボラGO制度と今後の支援
最後に、内閣府が開始した被災地支援団体への交通費補助制度「ボラGO」の紹介があり、エリマネネットの有志による今後の継続的な能登支援の呼びかけで締めくくられました。参加者の中からも「今度は現地に足を運びたい」という声が多く聞かれ、エリマネとしての自発的な支援の輪が広がりを見せようとしています。
被災地との「つながり方」を学び、行動へとつなげる機会となった今回の報告会。能登の経験は、災害大国・日本に暮らす私たち一人ひとりが、日常の中でまちとどう関わるかを考える重要なヒントを投げかけているのではないでしょうか。
文:村井 直也(京都景観エリアマネージャー)