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公開日:2025.07.07

【開催報告】 AIには解らない京都らしさ 『これからの居場所と出番』

2025年4月26日(土)、「NPO京都景観フォーラム×フォーラム」を開しました。

市民に広く公開する催しは久しぶりです。この催しを通して、市民の皆さまにNPO京都景観フォーラムのことを知ってもらうことと、景観まちづくりを身近に感じて貰う、ということを目的にしています。

「景観」と言っても、なかなか自分事として思えないですが、自分の住む環境・地域を考えること、居心地のよい場所を探す、より快適に暮らす、といったことはよい景観まちづくりにつながると考え、一見、景観と関係ないように見える色んな分野の3名の方のお話を掛け合わせて、これからの暮らし方を映し出そうという試みです。

タイトルは AI には解らない京都らしさ『これからの居場所と出番』」

一人目は×福祉 で、京都市岩倉地域包括支援センターの松本 恵生氏による「新しい認知症観と共生社会を目指して」 人が自分になじみのある場所で社会参加ができる場所をどう作るかという取り組みを、活き活きとした笑顔の場面の写真を交えてお話しくださいました。

二人目は ×縁側と庭で、 京都産業大学准教授・エマニュエル・マレス氏の「縁側のもつ意味~空間論と文学から」 最近、人が集まる場をまちの縁側と言われたりしますが、内と外を繋ぐ「縁側」の空間の意味を、夏目漱石の文学を通して説明されました。

三人目は ×茶の湯で、 野村美術館館長の谷 晃氏の「茶の湯の持つチカラ~NPO碧雲カフェの活動」 茶の湯の文化史、わび・すきという思想を「茶の湯のちから」という本に著され、それを実践するためにNPOを立上げ、高齢者や過疎地、災害地で、気軽に抹茶を飲む場所を設営するようになった経過をお話しくださいました。

そのあと、当NPO理事の服部真和氏(行政書士)のコーディネートで3人を交えてパネルディスカッションを行いました。共通して見えてきたのは、居場所とは、人が居て仲間がいて、だから楽しい場所。居場所があるだけで、社会との関係も自分らしさも現れる。などなど。

参加者数は59名で、会場からも質問やご意見をたくさん頂きました。事後のアンケートに記入くださった、印象に残った話題や感想をいくつか紹介します。

・人は活躍したいわけではない。人が集まる場があって、そこにいると楽しいということ。それが結果として活躍していることになる。

・先廻りして設えるのではなく、一緒にやっている自分が楽しい。「遊び」が大事。

・居場所作りでやってはいけないこと=上から目線。一発花火。自己満足。

・認知症の話も、縁側も茶の湯も、当該者が自らコミットして場を作っていく意識が重要だと認識した。

・勉学、仕事、社会との関わりなど、幼少期から老後まで一生を通じて、誰にでも居場所と出番が必要だということ。

・居場所と繋がりについて、実際的な話から文学的側面まで幅広く、しかも深い内容で聴くことができてとても有意義でした。

文:内藤 郁子(京都景観エリアマネージャー)