お知らせ
公開日:2019.03.26
【鴨川運河会議】「鴨川運河」と「深草」の魅力を伝える ~講演レポート~
朝晩はまだまだ冷え込むものの、日中はポカポカと暖かい日が増えてきましたね。
桜がちらほらと咲き始めている今の時期、
「鴨川運河」に沿って水辺をお散歩…なんていかがでしょうか。
今日のテーマは「鴨川運河」。
先日、地下鉄北山駅近くの京都学・歴彩館にて行われた連続講座、
~「鴨川運河」と「深草」の魅力を探る~ の講演レポートです。
京都景観フォーラムのメンバーが、設立当初から活動に携わっている「鴨川運河会議」。
琵琶湖疏水のなかでも今まであまり注目されていなかった、夷川から伏見までの「鴨川運河」の良さを見つけ、保全・発信していこう!という目的で始まりました。
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鴨川運河会議代表 鵜飼さんのあいさつで始まった講演。
トップバッターは、先日七条大橋の講演会でも演者を務めた、京都景観フォーラムの森本 浩行 副理事長。
まずは、鴨川運河の魅力と、「鴨川運河会議」が行っている活動についての紹介です。
鴨川運河の特徴は、
・直線
・開けた空間
・人道橋
・三角橋
・レンガ
なのだそう。
船を通すため人が作った水路ですから、蛇行せず、真っすぐに流れている。
空が開けた真っすぐな水路に、人が渡るための橋が、ちょこん、ちょこん、と並んでいる…
全長9kmの鴨川運河には、町ごとに、30もの橋がかけられています。水路をまたぎ、町と町とをつなぐ生活の橋。
地域の暮らしとともに作り上げられてきた味わいのある風景が、鴨川運河の最大の魅力なのでしょう。
2人目の講演者は、岸和田市教育委員会 郷土文化室文化財担当長の山岡 邦章さん。
「運河」と「レンガ」?
なんだか言葉遊びのようですが、じつは、運河とレンガは切っても切れない関係にあるのです。鴨川運河の沿道などに使われているレンガは、そのほとんどが大阪・岸和田産。伏見など、もっと近くでレンガを作っているところもあるのに、なぜ?
じつは、重~いレンガの運搬には、水運が適していたからなんです。
遠く、岸和田の地から運ばれてきた鴨川運河のレンガ。
岸和田レンガは品質が良いことで知られ、当時の軍隊の施設や、国の重要な建設物にも使用されていたのだそう。
山岡さんの考古学の視点、ユニークな語り口で語られる講義。質問タイムには、「レンガの赤っぽい色をしているのはなぜ?」「岸和田で上質なレンガが量産されたのは、土の質が良かったからですか?」など、たくさんの質問で盛り上がりました。(ちなみに、岸和田で使われていたのはごくごく普通の土だったそうです・・・)
最後の講演者は、お仕事の傍ら、ご自身で歴史の調査・研究を進めていらっしゃる坂田 満さん。
坂田さんが特に力を入れてきたのが、藤森神社の祭礼についての調査です。さまざまな場所に保管されている資料を見つけ、読み解きながら、お祭の変遷を探ってきたのだそう。
スクリーンに映っているのは、藤森祭で使われるお神輿。駆馬(かけうま)、福神などとともに、お祭りに欠かせない要素です。
絵巻に描かれているお神輿の数、福神の数などを見ていくと、祭がどのような変化をたどり、現在に伝わって来たかがわかります。
当日、会場には藤森神社の宮司さんもご出席され、講演に耳を傾けていました。
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講演終了後、鴨川運河会議の創立時からメンバーとして関わっている、京都景観フォーラムの篁 正康 理事にお話を聞きました。
(山岡さんの講演中、岸和田レンガを持って…のワンショット)
京都景観フォーラム 篁 正康 理事
京都景観フォーラムのメンバーがまち歩きをしていたときに出た、「鴨川運河沿いの景色っていいよね」というひと言。それがきっかけで始まった、鴨川運河会議の活動でした。
人々の交流の場を作るとともに、鴨川運河沿いの景色や橋の魅力を伝えるパンフレットを作成したり、運河沿いの空き地を広場として活用する「高松橋ひろば」を地元の人といっしょに作ったり、そんな活動をしてきました。
まっすぐな運河にかかる三角橋。それが細かい間隔で並んでいるさまが、何とも言えず、いいなあと感じます。橋やレンガの道、川沿いの自然など、訪れるたびに、いろいろな表情を見せてくれます。
鴨川運河にかかる橋は、一番古いもので、もうすぐ100歳を迎えようとしています。これだけ長い年月が経つと、老朽化もしますし、もしかすると橋が取り壊されてしまう可能性もあります。
これらの橋を、どうやって魅力を維持しながら保全し、鴨川運河の景観を守っていくか?
それが、これからの課題だと感じています。
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この春は、遠く水路をたどって運ばれてきたレンガに想いをはせ、橋の魅力を感じながら…?!鴨川運河沿いをゆっくり散歩してみたいものです。
■鴨川運河会議では、誰でも気軽に参加できるイベントや講演会を実施しています。
ぜひ活動をチェックしてみてくださいね。
鴨川運河会議フェイスブック
https://www.facebook.com/kamogawaungakaigi
■京都景観フォーラムの地域サポート活動はこちらから
https://kyotokeikan.org/activity/support
★景観エリアマネージャー インタビュー記事でも、鴨川運河の「高松橋ひろば」のことを紹介しています。
京都景観エリアマネジメント講座って? ~インタビュー:京都のまちを知り、新しい世界を開く(1)~
https://kyotokeikan.org/2019/01/29/1379
文・写真:土谷 真咲(京都景観フォーラム広報チーム)