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公開日:2019.05.17

【嵐山】地域景観づくり計画書の策定に向けて ~勉強会&ワークショップレポート~

昨年8月に京都市から認定を受けた「嵐山まちづくり協議会」。京都市内に11ある「京都市地域景観づくり協議会」の中でも、一番新しい団体がこちらです。
本サイトでも、門川市長が参加した設立総会の様子をレポートさせていただきましたね。

▼2018年8月 嵐山まちづくり協議会 認定式のようす
https://kyotokeikan.org/2018/08/28/1003/

▼京都市地域景観づくり協議会とは?くわしく知りたい方はこちら
https://kyotokeikan.org/2019/04/10/1597/


景観まちづくりのスタートラインに立った、嵐山まちづくり協議会。
これから本格的に制度を運用していくわけですが、そのために必要なのが、景観まちづくりの方針を示す「地域景観づくり計画書」です。

―未来の嵐山を、どのようなまちにしていきたいのか?
―そのために必要なこと、守らなくてはならないものとは何か?

地域の意思を伝えるためには、まずは協議会の中で進むべき道を定めなくてはなりません。計画書は協議会の運営にとって、とても大切なものなのです。

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その計画書を作るための第一歩として開かれた、勉強会&ワークショップ。
景観フォーラムは嵐山の地域サポート活動を行っており、今回のワークショップもお手伝いさせていただきました。

まずは勉強会です。
始めにお話くださったのは、臨済宗天龍寺塔頭 金剛院住職の加藤一寧さん。
嵐山の風景を語る上で欠かせない天龍寺が、周囲の景観形成にどのような影響を与えていたのか?
古い資料を読み解きながら、解説してくださいました。

お話の中でびっくりしたのは、江戸時代に行われていた「普請申請」という制度。天龍寺周辺の境内地で建設行為をするときには、絵図(完成予想図)を用意し、着工前に申請しなければならなかったそうです。
それも、奉行所に届け出る前にまず、天龍寺に提出し、その内容を協議しなくてはならなかったとのこと。

これって何だか…今の地域景観づくり協議会制度と似ていると思いませんか?
嵐山で300年近く先取りして、このシステムが使われていたとは!驚きです。
周囲と調和した美しい景観を保とうとする動きは、このころからすでにあったのかもしれません。


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次にお話いただいたのは、京都大学大学院 人間・環境学研究科教授の中嶋 節子先生です。

テーマは、近代における嵐山の景観形成。
源氏物語をはじめとし、さまざまな物語の舞台となってきた嵐山は、人々の憧れの地でもあります。

明治初期には荒廃が進んだ嵐山の景色も、その後、美しいまちを取り戻すため復興が進められてきました。その時のモデルになったのが、平安時代のみやびな雰囲気や、王朝文化だったそうです。

物語に登場する風景がそのままに、目の前に広がっている…
そんな楽しみ方ができるのは、嵐山ならではの魅力ですね。


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おふたりの講義を聞き、それぞれの心の中で描く「嵐山」像が浮かんできたところで…
いよいよ、グループに分かれてのワークショップの始まりです!
7~8名でグループを作り、

●嵐山で大切にしたいもの
●嵐山の気になるところ

の2つのテーマについて、意見を出し合いました。

ワークショップでは思いついたことを何でもふせんに書き出し、みんなで意見交換をしていきます。
各テーブルのファシリテーターには景観フォーラムのメンバーも参加。グループの皆さんから活発な意見を引き出していました。

嵐山で大切にしたいもの」として意見が挙がっていたのは、まちから見える山・川・空などの自然、人と人とのつながり、歴史的な建物や文化など。

一方、「嵐山の気になるところ」では、観光客の増加によるゴミの多さ、道路の混雑、地域の人の移動のしにくさ、などの声が聞かれました。


最後には、各グループからまとめの発表があり、2時間半の勉強会・ワークショップが終了しました。


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地域の「未来の姿」を計画書としてまとめていくためには、そこに関わる多くの人たちの意見を汲み上げ、言葉にしていかなくてはなりません。
計画書づくりのプロセスを通して、地域の方々の想いがひとつになっていくことも、地域景観まちづくり協議会の大切な役割なのではないでしょうか。

協議会としての景観まちづくり活動のスタートラインに立った、嵐山まちづくり協議会。
その活動を、これからも紹介していきたいと思います!

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●嵐山まちづくり協議会の設立まで、8年の道のりはこちらから
嵐山まちづくり協議会設立までの道 ~NPO法人さらんネットでの講演レポート~
https://kyotokeikan.org/2019/01/21/1364/


●嵐山など京都景観フォーラムがサポートしている地域の情報はこちらから
https://kyotokeikan.org/activity/support/


文・写真:土谷 真咲(京都景観フォーラム 広報チーム)