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公開日:2019.09.05

古材文化の会との協働の取り組み ~歴史的資産周辺の景観情報(プロファイル)の充実~

「古材文化の会」とは、木造建築の文化を守り、木を生かす知恵と技術を次の世代につたえることを目指して京都で活動している団体です。

歴史的建造物の調査・保存・活用、そしてそれらを生かしたまちづくりに取り組む「京都市文化財マネージャー」の育成も行っており、今年3月に行ったイベント「まちづくり講座オープンキャンパス」でも一緒に企画・運営を行いました。
今回は、この古材文化の会とともに手がけた京都市の事業を紹介します。

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京都市内の社寺とその周辺の景観を保全する取組の一環として「歴史的資産周辺の景観情報(プロファイル)の充実」を図る事業が進められており、これを京都景観フォーラムと古材文化の会が、京都市から共同で受注しています。

歴史的景観の保全対策のため、市内27箇所の寺社等の周辺エリアのうち一定のものは建築行為等を行う際、京都市との事前協議(景観デザインレビュー)が必要となります。
プロファイルは、この際に参考となる地域情報を資料にまとめてあらかじめ公開しているものです。

平成31年に公開されたプロファイルは文献調査からまとめたものでしたが、昨年度、これに地域住民の声を反映し、そこから得られた地域固有の情報を追加しようという取り組みがスタートしました。この「プロファイル(協働版)」の作成は、今後、市内27箇所の寺社等の周辺エリアにて順次取り組んでいくとのことです。

 

昨年度、京都市が選定した対象地区は、御室学区、桂東学区、教業学区、翔鸞学区、上賀茂学区の5学区でした。これらの地区に対し、自治組織の役員さんや地域の歴史に詳しい方、地域に関わっておられる研究者などへのヒアリング、地域の方と一緒の現地調査、文献調査を重ね、地域の特徴をマップにまとめていきます。

地域によっては、住民が集まる会合で意見をいただいたり、回覧などで住民全体に意見を出してもらう場をつくるなど、住民参加の機会を設けました。

 地域住民の方、京都市職員の方との現地調査

京都市としても初めての事業。京都景観フォーラムと古材文化の会が本格的に協働するのも初めてとあって、それぞれの事務局を中心に取り組みのコアとなるチームをつくり、さらに対象地区に関わりの深い人を迎え、手探りをしながらの取組となりました。

ですが、地域での共有や協働の取組を行う京都景観エリアマネージャーと、社寺・歴史的建造物・地域の歴史の調査力に長けた京都市文化財マネージャーとが、それぞれの得意技を持ち寄ってコラボすることの手ごたえを感じる取組になりました。

昨年度は5学区について事業を終え、京都市のウェブサイトで順次公開されています。

 御室学区での作成例

▼歴史的資産周辺の景観情報(プロファイル)の充実(協働版):京都市情報館
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000255172.html


今年度も引き続き受注することとなり、3学区(予定)を対象に取り組む予定で、対象地区の広がりとともに、京都景観エリアマネージャー、京都市文化財マネージャーの参加も広げていきたいと考えています。

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●古材文化の会 webサイト
http://www.kozai.or.jp/index.html

▼その他、京都景観フォーラムの活動はこちらから
https://kyotokeikan.org/activity/


文・写真:森川 宏剛(京都景観フォーラム 専務理事)