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公開日:2019.10.01

【三条・近代建築WEEK 2019】シンポジウムレポート《前編》~まち歩き・建築ガイドツアーの企画と運営~

前回の記事で取り上げた三条通のイベント「近代建築WEEK 2019」(~10/6(日))。
スタートから数日経ち、たくさんの方にご来場いただいています!

この近代建築WEEK 2019は、京の三条まちづくり協議会が毎年行っているイベントで、
三条通の近代建築にスポットを当て、それらの建築物の保全・活用を考えていこうというものです。

その近代建築WEEK 2019の一環として開催されたシンポジウムのテーマは、「建築・まち・ひとを繋ぐ」

《9/29(日)開催!》シンポジウム「建築・まち・ひとを繋ぐ」で近代洋風建築の魅力に触れてみませんか?

まち歩きツアーを企画されている方々博物館の学芸員の方、そして地域のまちづくり協議会の方が集ってトークセッションをするという、大変エキサイティングで面白いものでした。
今回のレポートで、皆さんにもその様子を少しでもお伝えできたらと思います!

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三条通のシンボルともいえる「京都文化博物館」
もともとは日本銀行の京都支店だったこの美しい建物に、ふらりと訪れたことがある方も多いのでは?


なんと今回のシンポジウムは、レトロな雰囲気あふれるこの別館ホールが会場となって行われました。さすが、近代建築WEEK!
広間の天井や照明、柱などの装飾を見ているだけでもワクワクしてきます。

今回の近代建築WEEKは、三条通のまちづくりをお手伝いしている京都景観フォーラムも共催しています。

司会を務めたのは、京都景観エリアマネージャー(エリマネ)紹介でもご登場いただいた、京都景観エリアマネージャー高橋さん
高橋さんは京の三条まちづくり協議会の活動会員として、三条のまちづくり活動にも関わっています。

京の三条まちづくり協議会会長の森本 浩行 氏の開会あいさつ、運営委員の篁 正康 氏によるシンポジウムの趣旨説明を皮切りに、会がスタートしました。

(森本氏による開会あいさつ)

(篁氏による三条通のまちづくり活動の紹介)

今回は、パネリスト4名によるトークセッションがメインイベントとなっていますが、初めにゲストのパネリスト2名の方から、ご自身がされている活動の紹介がありました。

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おひとり目は東京からのゲスト、和田 菜穂子さん


和田さんは「一般社団法人 東京建築アクセスポイント」の代表理事を務められており、 “建築文化資源”を通して社会と人をつなぐ活動をされています。

建築史家でありながら、“美術館の学芸員”という経歴ももつ和田さん。
現在はこの東京建築アクセスポイントで、日本人や外国の方に向けた建築物のガイドツアーを企画・運営されています。

 

「ガイドツアーの企画は、美術館の展覧会の企画と似ている」と、和田さんは言います。

ガイドツアーを行うときはまず初めに、”どんなコンセプトでどこを回るか?”という企画のアイディアを出し、訪れたい建物の管理者に企画書を送ったりして、ツアーの許可をもらうそうです。
確かに、会のテーマを考え、ひとつひとつの作品の所有者に貸出をお願いする展覧会と、開催までの流れがとても良く似ていますね。
なかには残念ながら許可をもらえず、実現が叶わなかったツアーもあるのだとか…

それにしても、「建築家別」「エリア別」「テーマ別」というように、さまざまな切り口で企画される建築ツアーは、どれもとても面白そう!
お正月には「建築の七福神ツアー」と銘打って、おめでたいイメージの7つの建築物をめぐるツアーまで開催されたそうです。

ただ建物の解説をするだけでなく、日本の文化を体感してもらうことも、この活動の目的のひとつ。
黒川紀章の代表的な作品「中銀カプセルタワー」を解説する外国人の方のツアーでは、建物の一室を使って茶会を開いたこともあったそうですよ。

このようなツアーを介した「建築文化の紹介」は、東京建築アクセスポイントの活動のひとつの柱。

そして、残りのふたつの柱は、「教育」「研究調査活動」です。子供向けのワークショップや大学生のインターンシップの受け入れを行ったりと、若い世代へ建築の面白さ・楽しさを伝える活動、行政や他団体と協力しながら建築文化を次世代に伝える活動を行っているそうです。

講演を聞いていて何よりも感じたのは、和田さんの好奇心とエネルギーにあふれた魅力的なお人柄!

和田さんの活動のフィールドは東京ですが、京都でも参考にさせていただきたい取り組みのアイディアがたくさんありました。

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おふたり目にご登壇いただいたのは、「まいまい京都」代表の以倉 敬之さん

まいまい京都といえば、ユニークなガイドさんによる まち歩きツアーが有名。以倉さん自身もNHKの人気テレビ番組「ブラタモリ」に出演されていますので、ご存知の方も多いのでは?

まいまい京都のツアーが他とひと味違うのは「モノやコトではなく、“人”に焦点を当てたツアー」をされていることです。

仕事への愛情を語る、庭師さん。
モザイクタイルへの愛情を語る、愛好家さん。
150名以上が所属するガイドさんの得意分野は、ひとりひとり本当にさまざまです。

「愛情たっぷりのガイドさんに語ってもらうことで、その愛情が参加者の方に伝染してくる」と、以倉さんは語ります。
実際に銭湯のツアーをしたときは、ツアー後には参加者全員が銭湯に入りたくてたまらなくなっているのだとか・・・

このようなツアーができるのは、何も京都のような歴史のあるまちに限ったことではありません。
大切なのは、“人”がツアーの主役であること。
多様な“人”が集まっているまちであれば、どんな場所でも開催が可能だと以倉さんは言います。

最近は東京にも活動の場を広げ、音声ガイドや動画配信の取り組みも初めているのだとか。
年間700コース(!)ものツアーを開催しているのも本当にすごいことだと思いますが、さらに先を見すえ、新しいことにチャレンジしている姿勢が素敵でした。

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それにしても、和田さんも以倉さんもガイドをしてるためか、美声でお話上手!
1時間があっという間に感じた、シンポジウム前半の部でした。

次回、後半はいよいよトークセッションに続きます・・・

文・写真:土谷 真咲(京都景観フォーラム 広報チーム)

 

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近代建築WEEK2019は10/6(日)(※京都文化博物館での展示は10/27(日))まで
京都文化博物館界隈、三条通を中心に好評開催中!

ここまで三条通のこと、京都の近代建築の流れを一気に知ることができるイベントは、なかなかないです・・・「スマホアプリを使って、景色の変化を見ながらまち歩き」なんて、ユニークな企画の開催も。

京都文化博物館では展覧会「辰野金吾没後100年 文博界隈の近代建築と地域事業」も開催しています。
三条通と建築の歴史に触れられる1年に1度の貴重な機会に、ぜひ参加してみてくださいね!

▼イベント全体の情報がわかるパンフレットはこちら
近代建築WEEK2019 イベントパンフレット(PDFファイル)