お知らせ
公開日:2019.10.03
【三条・近代建築WEEK 2019】シンポジウムレポート《後編》~トークセッション「建築・まち・ひとを繋ぐ」~
前編に続き、三条通で開催中の「近代建築WEEK 2019」(~10月6日(日))シンポジウムのレポート。
後編の今回ではいよいよ、メインイベントのトークセッションの様子をお伝えしていきたいと思います。
前編をご覧いただいていない方は、こちらからどうぞ!
▼【三条・近代建築WEEK 2019】シンポジウムレポート《前編》
~まち歩き・建築ガイドツアーの企画と運営~
https://kyotokeikan.org/2019/10/01/1837/
~~~
トークセッションでは、前半にお話いただいた和田さん(一般社団法人東京建築アクセスポイント 代表理事)、以倉さん(まいまい京都 代表)に加え、京都府京都文化博物館 学芸員の村野 正景さん、京の三条まちづくり協議会 事務局長の西村 祐一さんがパネリストとして登壇されました。
コーディネーターをつとめるのは、京都工芸繊維大学 助教の笠原 一人さんです。
今年の近代建築WEEKでは、京の三条まちづくり協議会と京都文化博物館が連携して展示を作る試みが行われました。
京都文化博物館の2階総合展示室(京の至宝と文化)にて開催中の「辰野金吾没後100年 文博界隈の近代建築と地域事業」展。このなかの三条通の建築物や界隈のまちづくりを紹介する展示は、京の三条まちづくり協議会の協力があり実現したのです。
(※特別に撮影許可をいただいています)
(京の三条まちづくり協議会 事務局長 西村さん)
(京都文化博物館 学芸員 村野さん)
村野さんによると、海外では、まちに訪れた観光客が最初に行く場所は、その地の博物館であることが多いそうです。
博物館がまちの文化と歴史を発信する拠点として機能し、そのまちの背景を一度に知ることができる場所になっているのだとか。
今回、「博物館とまちづくり団体のコラボレーション」という試みに取り組んだ、村野さんと西村さん。
「博物館がまちの情報収集の拠点となり、展示からまちにつなげていく仕組み作りをしていきたい。」と、村野さんは言います。
今回のコラボレーション展示はまさに、その第一歩と言えるかもしれませんね。
(まいまい京都 代表 以倉さん/一般社団法人東京建築アクセスポイント 代表理事 和田さん)
和田さん、以倉さんのようなガイドツアーを企画されている側からは、「ツアーでまちを訪れることは、そのまちの方々にとって迷惑にならないだろうか?」という質問が。
ガイドなどで建築物やまちの価値を再発見し、地域の方々も知らなかった知識を人々に伝えることができるのは、とても大きな魅力でしょう。
しかし一方で、「まちが消費されてしまう」という恐れがあることも知っておかなくてはならない、という意見も挙がりました。訪れる人が多くなることで観光問題が起きたり、まちの本意ではない情報やイメージが伝わってしまうこともあるかもしれません。
~~~
今回の博物館での展示では、京の三条まちづくり協議会が建物の所有者の方との交渉の窓口になり、博物館と地域の方々をつないでくださったそうです。
「先の未来、景観まちづくりに取り組む団体が、いろいろな施設や団体をつなぐ地域の“つなぎめ”となるかもしれない。」そんな可能性も語られていました。
2時間があっという間に感じるくらい、内容が詰まった意見交換のひととき。
博物館のような公的な施設、まち歩きを楽しみに訪れるゲストの方々、そして地域のまちづくりをしている方々。それぞれ違った目線からのお話を聞け、勉強になりました。
今回の博物館・まちづくり協議会が連携した取り組みもとても面白いものでしたし、今後もぜひ新しい”つながり”のかたちを見せていただけたらと感じています。
~~~
■京都文化博物館の展示は10月27日(日)まで開催中です!
三条通の近代建築について、また、三条のまちづくり活動についての展示もぜひご覧ください。
辰野金吾没後100年 文博界隈の近代建築と地域事業(京都文化博物館内サイト)
http://www.bunpaku.or.jp/exhi_shibun_post/bunpakukaiwai2019/
↓来場者参加型の企画、三条通の建物の人気投票もあります!一番人気は果たしてどの建物でしょうか?
(※特別に撮影許可をいただいています)
~~~
■京の三条まちづくり協議会では、毎回テーマに沿ったお話が聞ける定期開催の「まちカフェ」をはじめ、さまざまな活動・イベントを行われています。
京の三条まちづくり協議会 webサイト
http://www.sanjyo-kyo.jp/
▼京都景観フォーラムの地域サポート活動の紹介はこちら
https://kyotokeikan.org/activity/support
文・写真:土谷 真咲(京都景観フォーラム広報チーム)