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公開日:2022.10.06

【基礎講座2022】第3回~景観と都市形成~

2022年9月は、京都景観エリアマネジメント講座 基礎講座の第3回です。

テーマは「景観と都市形成」。中島節子先生(京都大学大学院教授)に、「近代の京都と景観」というタイトルでお話いただきました。

中島先生は、「京都らしい風景の発見と保全」が京都の持続可能性を支え、ひいては日本の「景観」という概念にも繋がっていったことを、興味深い事例と共に教えてくれました。

たとえば、明治初期、京都の景観を形作ってきた社寺や名勝旧跡、山林などの維持管理体制が崩壊し、荒廃していくことに危機感・保存意識を持った有志が、寄付によって「保勝会」を設立し、環境・歴史的建造物を保護していったそうです。その発足時期は、英国のナショナルトラストよりも早かったとのこと。

この活動はその後、全国に影響を与え、大正8年に「史蹟名勝天然記念物法」が成立します。明治30年に成立した「古社寺保存法」についても、その7年前に「京都美術協会」が設立され、京都の古社寺を保存する活動が既に進められていたそうです。

他にも、風景のコントロールや「眺め」の価値など、京都らしい風景/景観の模索について、最後まで興趣がついない講義が続きました。受講生からは、京都らしさは意図を持って作られてきたという根本を再確認できた、京都の景観構造を知ることができたという意見が寄せられました。


午後からは、いよいよワークショップの2回目。景観フィールドワークです。深草グループと松ヶ崎グループに分かれ、2時間以上にわたって、各地域を見てまわりました。一緒に歩きながら話をする中で、活発なコミュニケーションが行われたようです。

深草グループは、京阪・藤森駅周辺を散策しました。
まずは、旧街道らしく京町家の街並が続く本町通を歩きました。沿道の家の軒先や家屋の壁をくりぬいた場所にまで多くのお地蔵様が祀られていて、町ぐるみで大切に守っているようでした。また、深草商店街でもあるこの通りには、駄菓子屋さんや食堂など、懐かしい昭和感が色濃く残るお店が多いことも特徴でした。

次に、第二軍道の師団橋を琵琶湖疎水・鴨川運河の方へ行き、橋脚に陸軍の五芒星マークや、橋の両端に大正時代と彫られた親柱を見つけ、運河に寄せる先人たちの想いを感じました。


線路と運河の間に建つ住居は、前面道道の幅員が1mもないのでどうやって建てたのか、奇抜な緑色の建物もこの風景には違和感なく溶け込んでいるなど、景観に関するテーマで、大いに話が盛り上がりました。

今回のフィールドワークで、道や沿道を比較するだけでも、深草の歴史・変遷・営みが感覚的にわかったような気がします。
次回からの課題設定に向けて、更に議論を深めていってもらいたいと思います。

 

文・写真:上杉 里延子(京都景観エリアマネージャー)


 

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