講座 Course

講座

公開日:2024.01.08

【基礎講座2023】第6回〜京の生活文化〜

2023年12月、景観エリアマネジメント講座基礎第6回が開催されました。

テーマは「京の生活文化」。ひとつめの講義は、町田香先生(京都芸術大学准教授)「生活文化と日本庭園」前半は「眺望」「借景」「景観」という各キーワードから日本庭園の概史を、後半は庶民と宮廷を対比して、庭園の内部でされていたことや文化的な営みについてお話しいただきました。

庭園とは本来、人々の生活の場であったとのことです。その場合は現在の庭園とは違い、一視点からの眺めという単なる視覚像ではなく、身体性のある動的な景観を捉える必要がありそうです。

ふたつ目の講義は、谷晃先生(野村美術館長)「≪侘数寄≫から≪わびとさび≫へ」。「侘数寄」「わび」「さび」「禅」など、西洋美学では捉えられない茶の湯の理念についてお話いただきました。

頭ではなく、五感=からだでしか理解できない、そしてそれも完全に分かったとはいえるものではない、という茶の湯の理念。伝統文化の概念を景観エリアマネジメントにどう生かせばいいのか、ということにも共通しそうです。

最後は、笹岡隆甫先生(華道未生流家元)「伝統文化から受け継ぐ美意識」。ご自身の作品と半生を辿りつつ、いけばなとは何か、草花とそれを生けるという行為について、フラワーアレンジメントなどの類似文化との対比も踏まえながらお話しいただきました。

お化粧するように花の姿を際立たせる。自分はあくまでも黒子であり、自己表現ではない、という姿勢が興味深く感じました。自然物を相手にするという点で、ひとつめの講義の主題であった「庭園」との相似や相違点を見つけるのも面白そうです。

今回の講義はどれも「わかりやすい」話ばかりではありませんでしたが、「景観」に関わっていくうえで非常に重要な観点を築く機会になったと思います。

 

文・写真:丸 大聖 (京都景観エリアマネージャー)


2023年度 京都景観エリアマネジメント講座・受講生募集中

講座の詳しい情報はこちらから▼▼▼単発での受講も可能です!