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公開日:2024.05.09

【研修会】山科の史跡まちあるき

京都景観フォーラムでは、京都景観エリアマネージャー(エリマネ)が研鑽を積む場として研修会を開催しています。4月27日に実施された研修会では、第8期エリマネの畝博之さんの案内で、山科区の山科本願寺ゆかりの地域や史跡を巡るまちあるきが行われました。

集合場所のJR山科駅前で畝さんから簡単な説明を受けた後、旧三条通(かつての東海道)から醍醐道へ。

山科は今も昔も東海道をはじめ、多くの街道が行き交う交通の要衝です。そこに15世紀中ごろ、本願寺第8代蓮如上人によって山科本願寺が築かれました。山科本願寺は周りを堀と土塁で囲まれた、まさに「城」というべきもので、その中には大きな寺内町もありました。

山科本願寺は約50年間栄えましたが、戦国時代さなかの襲撃にあって焼け落ちてしまいます。今ではその形を見ることはできませんが、京都市による長年の発掘の結果、次第にその概要が明らかになってきています。

今回の企画は山科本願寺の痕跡をたどることに加え、昨年の都市計画変更の現地(山科の外環状線沿い)を実際に見てみようというものです。

まず目指したのは東別院。その途中に残る水くみ場「だんじょ水」を見学。「だんじょ水」は江戸時代初期、周辺の水不足対策として作られた用水の名残です。ここでの畝さんの説明は、山科の地形や、吉崎御坊、山科本願寺、石山本願寺と次々まちづくりに手腕を発揮した蓮如のデベロッパーとしての側面に及びました。

東別院(真宗大谷派山科別院長福寺)は学校も併設されているという大きな寺院です。さらに歩いてすぐの所にある西別院(本願寺山科別院)、蓮如上人廟所へ。廟所は住宅街の中にありながら巨木に囲まれた幽邃な雰囲気。この辺りが今も浄土真宗にとって神聖な場所であることがうかがえます。

さらに進んで山科中央公園の国史跡山科本願寺土塁跡を眺めながら、山科本願寺跡公園へ。史跡公園は山科本願寺の主要堂舎がある「御本寺」の一角とされ、発掘調査で建物や柵、井戸のほか、覆屋を伴う半地下式の石風呂(写真の石柱はその柱跡として建てられたもの)、堀、土塁などが見つかっています。

公園は「特定非営利活動法人 古材文化の会」が指定管理者として管理運営されています。最後に、公園内の古材文化の会が事務所として使われている「奥田家分家」を見学し、まち歩きは終了となりました。

文:村井 直也(京都景観フォーラム副理事長)


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