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エリマネネット

公開日:2019.11.24

【視察】研修会~城下町・彦根で過去と未来を訪ねる~

京都景観フォーラムが開講している「京都景観エリアマネジメント講座」。その修了生である「京都景観エリアマネージャー」、通称「エリマネ」が交流し、スキルアップするために始まった活動が「エリマネネット」です。

前回7月に行われたエリマネネットの研修会の様子は、こちらをご覧ください!
▼【エリマネネット】スキルアップ研修会でグラフィック・ファシリテーションを学ぶ
https://kyotokeikan.org/2019/07/22/1725/

 

エリマネネットの研修会では、このようなワークショップのほか、さまざまなまちでの「まち歩きツアー・見学会」も開催されています。
最新の研修会では、滋賀県・彦根市でまち歩きが実施されたとのこと。

エリマネの高橋さんに、そのレポート記事を執筆いただきました。

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文:高橋 裕美(京都景観フォーラム 景観エリアマネージャー)

京都景観エリアマネージャー、通称「エリマネ」のスキルアップを応援し、修了生同志の交流を深めるために始まった「エリマネネット」の活動。

今回の研修会ではエリマネの笠原氏・宮川氏(6期修了)、畝氏(8期修了)に企画いただき、滋賀県・彦根市のまち歩きツアーを開催しました。

(畝氏より彦根城秘話を聞く)

彦根市は、国宝の彦根城天守をはじめとする貴重な歴史的建造物が現存し、国の特別史跡に指定されています。
エリマネの畝氏から、彦根城界隈の古地図を片手に、彦根城の成り立ちからいかにして現在に通じる城下町が形成されたか、歴史秘話をお聞きしました。

皆さん、まち歩きへの期待が膨らみます。

(登録有形文化財の上野家住宅)

城下町中心部に位置する、江戸時代後期に建てられた登録有形文化財建造物の上野家住宅を見学。

ご当主からは、歴史的文化的な景観を後世に伝えたいという思いから「本町二丁目まちづくり研究会」を発足し「地区計画」の制定導入に至った経緯についてお話を伺いました。

(上野家住宅ご当主(中央)のお話)

二階の窓から彦根城を眺め当時の暮らしに思いを馳せることが出来るのも、地元の方々が力を合わせ、城下町の落ち着いた景観、調和、環境を
守ってくれた恩恵だと感じたひとときでした。

(夢京橋キャッスルロード)

地区計画により城下町風情に修景された夢京橋キャッスルロードを経て、大正ロマン漂う四番町スクエアへ。
ご当地キャラクター、「ひこにゃん」に遭遇という粋な計らいに、一同感動の声があがりました!

(四番町スクエア、ひこにゃんとの遭遇)

彦根城外堀の外側に城下町を囲むように設けられた足軽組屋敷群は、敵から防御するために計画的に造られた町です。

芹橋地区には、現在も約34軒の足軽屋敷が建ち並び、「どんつき」「くいちがい」の道や路地にみられる城下町特有の町割りや「見張り小屋」「辻番所」が残るなかで、地域の人々の日常生活が営まれています。

(見張り小屋)

しかし過去には、地元住民が足軽屋敷売却話に消失の危機を感じ、募金運動をはじめ古民家再生トラスト活動を行ったこともありました。その結果、彦根市が屋敷を購入して市民が運営を行うという形態が確立されたのです。


現在は「辻番所の会」が市より管理・運営の委託を受けて、会員と住民有志によって一般公開業務やイベントを行っています。さらにまちづくり研究会で議論を重ね「まちづくり憲章」を策定。平成29年度からは、新自治会まちづくり部会が中心となって憲章の実現化に向けて歩みを進めています。

その経緯について、渡邊 弘俊 氏からお話を伺いました。

(足軽屋敷辻番所にて)

銀座町の商店街は、昭和36年に防災建築街区造成事業により全国に先駆けて造られたRCの防災街区ですが、今は空き店舗や空き家が目立ち、活気を失っていました。

(銀座街にて笠原氏(左)と宮川氏(右))

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城下町南東部に位置する河原町芹町地区は、伝統的な町並みが残り、現在も往時の歴史的な風致を感じられるとして、平成28年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

ここで注目すべきは、石田三成など戦国武将をテーマにした商店街づくりや、延べ1万人を集めるイベント「アートフェスタ勝負市」を開催して県外へもまちの魅力を発信しているところです。

(戦国武将がテーマの花しょうぶ商店街)

商店主のご子息たち数人が戻って来たことをきっかけに、20代~30代の若手が商店街活性化のための取組を始めたのでした。
滋賀県立大学の協力も得て、学生たちと新しいまちのコンセプトづくりにチャレンジ。

メンバーそれぞれの得意分野を活かして精力的な活動を行った成果として、地域住民や学生や観光客が大勢訪れる賑わいのある商店街になったのです。

その過程について、力石 寛治氏、和田 一繁氏からお話を伺いました。

(ひこね街の駅寺小屋石にて 力石寛治氏(左)と和田一繁氏(右)

昭和11年に建てられたモダンな外観の宇水理髪館(登録有形文化財)では、ご夫妻がご自宅に招き入れて下さいました。
映画の舞台のような床屋さんの中に佇みながらご夫妻のお話を聞いていると、昭和の懐かしさが胸をよぎり、ほっと癒される思いがしました。

(登録有形文化財の宇水理髪館)

(店内は昭和の床屋さんの面影が)

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約7時間の充実した行程でしたが、彦根のまちが江戸から現代に時代を変えても、彦根城を中心に市民の生活が営まれ、伝統と文化を守り抜く覚悟と、新しい魅力を生み出す意気込みに支えられた人々のまちであると感じました。

企画して頂いた笠原氏、宮川氏、畝氏と、各地でレクチャーして頂いた地元の皆様、本当にお世話になりありがとうございました。

(花しょうぶ商店街の方々)

(参加者一同、充実した良い笑顔)

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「京都景観エリアマネジメント講座」は毎年6月開講。
今年のプログラムはすでに始まっていますが、基礎講座の講義は、単回受講も可能です。

京都景観エリアマネージャーの活動に興味がわいた方は、ぜひお気軽に受講・お問合せください。

▼京都景観エリアマネジメント講座のご紹介(パンフレットのPDFもこちらから)

京都景観エリアマネジメント講座