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公開日:2021.09.15

【実践講座2021】第3回~自身と景観まちづくりとの関わりを考える~

京都景観エリアマネジメント講座(以下、エリマネ講座)実践講座の第3回が開催されました。

今回は、過去にエリマネ講座を修了し、京都景観エリアマネージャー(以下エリマネ)としてご自身の専門性を活かした活躍をしておられるお二人を講師にお招きしました。

先輩エリマネのお話を通して、自分自身と景観まちづくりの関わりを考える、という内容です。


 

先輩エリマネのお一人目は、株式会社梅鉢園 代表の梅野 星歩さん

梅野さんは、長岡京市を拠点に庭師としてお仕事をされている傍ら、俳優としてのドラマ出演、出版、NYでの講演などと、多才な活動をされています。

梅野さんによると、「庭」とは「中間領域」であり、庭を中心に、社会課題や文化など様々なものを繋いでいく存在だということです。人間の営みが、自然とともにある中で存在する景観、それが「庭」だということです。

大阪の豊国神社には昭和の作庭家 重森 三玲による石庭がありますが、その背景にはラブホテル街が広がっているそうです。しかし、それも含めて、人の営みの時間が蓄積された結果だとして肯定的にとらえることができるかもしれない、とお話されていました。

ご自身では、社会課題の解決につながる取り組みを、庭師というお仕事を通じて実行されているとのこと。

たとえば、庭の手入れで出てくる廃棄物。これまでは捨てていたそうですが、アロマやプロダクトに活用し、地域ブランドにしていく活動をされているそうです。活動を通して人のつながりが生まれ、他者と共存しながら自分たちらしく生きていくことにつながる、とおっしゃっていました。

梅野さんはエリマネ講座を通して、時間や空間の「間」を繋いでいくことがご自身の役割だ、というのに気づかれたそうです。

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続いてお二人目は、大の町家ファンで、現在町家の宿泊施設を運営されている、株式会社立志社 代表の前田 弘二さん

前田さんは熊本生まれ東京育ちということですが、大学時代を京都で過ごされました。当時は誰も「町家」や「日本的なもの」に興味を示さなかったということですが、前田さんは、町家巡りをしてばかりいたとか。

大学卒業後は不良債権の回収や売買などのお仕事をグローバルにされていらっしゃいましたが、大学の先輩に「京都の町家をどうにかしてやってくれ」と相談されたのがきっかけで、京都に戻ってこられたそうです。

会社を立ち上げたのは、町家を後世に残していく手段として、宿泊施設の形で運営するため。

近江商人の売り手・買い手・社会の「三方よし」という言葉は有名ですが、前田さんはそれに従業員と出資者を加えた「五方よし」を意識して運営されているということです。

(前田さんが運営している宿泊施設のひとつ)

近隣の人たちは運営当初、よそから来た前田さんたちに冷たかったとか。

スタッフとともに、「とにかく挨拶だけはしていこう」と、地域の信頼を得る努力を重ね、今では「うちの町家も運営してもらえないか」と相談を受けるほどになっているそうです。

前田さんの目指しておられるのは、イタリアのアルベルゴ・ディフーゾ(興味がある方は調べてみてくださいね)。まさにそれを京都で実現されている印象を受けました。

質疑応答のあとはグループに分かれ、梅野さん、前田さんにも加わっていただきつつ、京都景観エリアマネージャーの役割やあり方について議論しました。

このように、実践者と直接身近に対話しながら学べることも、エリマネ講座実践講座の特徴です。

基礎講座の受講生は、ぜひ次年度、実践講座の受講を検討してみてくださいね。未受講の方はまずは基礎講座から!

 

文・講座写真: 篁 正康(京都景観フォーラム 理事)


↓なお、今回講師をつとめたお二人の活動は、動画でもご覧いただけます。↓

  


京都景観エリアマネジメント講座 基礎講座 第2回(8月)、第3回(9月)は残念ながら中止となりましたが、10月以降の講義は現時点では開催を予定しております。

1講義ごとの受講も受け付けています【 1講義あたり 4,000円、学生(大学院、大学、専門学校など)は2,000円】ので、興味がある講義にお気軽にご参加ください!

※開催状況は状況により随時となる場合がございますので、以下よりご確認願います。

【2021年度 京都景観エリアマネジメント講座】新型コロナウイルス対応による開講状況のお知らせ


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