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公開日:2019.12.21

京都の夜景を考えよう! ~京都市景観市民会議 開催レポート~

「京都の“夜の景色”」といえば、皆さんどんな情景を思い浮かべますか?

鴨川に面して建ち並ぶ、お店の灯りでしょうか。
飲食店街の賑やかな照明、はたまた、桜や紅葉のライトアップ?
昼間は大賑わいの観光名所でも、日が暮れたとたんに真っ暗になってしまう…これも、京都ではしばしば見られる光景な気がします。

そんな京都の夜の景色、「夜間景観」をより良いものにするため、いま、さまざまな取り組みが始まっています。

たとえば、岡崎の大鳥居や三条大橋などのモニュメントのライトアップ、
また、鞍馬口通では、一般的な白色の街灯にカバーをかけ、ランプの灯りのような暖かみのある色に変えてみるなど、市内各地で社会実験が行われています。

この夜間景観に対する取り組みの一環として、今月初旬に開催されたのが、市民の方の意見を聞くための「京都市景観市民会議」です。
京都景観フォーラムのメンバーも参加したこの景観市民会議で、どんなことが行われたのか?
今回お伝えしていきたいと思います。

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景観市民会議には、京都市景観デザイン会議の委員のほか、事前募集に申し込んで選ばれた13名が「市民公募委員」として参加しました。
学生さんから子育て世代、ご年配の方まで、幅広い年代の方々が集まっており、傍聴者として参加された方も多く見られました。

まず初めに、話題提供として、中村 美寿々さん(株式会社ライティングプランナーズアソシエイツ)、大島 祥子さん(一級建築士事務所スーク創生事務所代表)、門内 輝行教授(大阪芸術大学教授、京都大学名誉教授)の3名から、世界の夜景の事例や、夜間景観のデザインに関するお話がありました。

夜の景観は、昼間とは違い、見せたいものだけにスポットを当てて目立たせることができるのだそう。
つまり、夜景をどう見せるかの「演出」が重要になってくるのですね。

このように、参加者の皆さんが夜間景観を考えるにあたってのポイントを知ったところで、4つのグループに分かれて意見を交わしました。
意見交換のテーマは、「”日常”の夜間景観のあり方」と「”非日常”の夜間景観のあり方」です。

また今回、新しい試みとして「グラフィック・ファシリテーション」が意見交換の場に取り入れられました。
以前、こちらの記事で紹介したのを覚えていらっしゃる方もいるでしょうか?

▼【エリマネネット】スキルアップ研修会でグラフィック・ファシリテーションを学ぶ
https://kyotokeikan.org/2019/07/22/1725/


グラフィック・ファシリテーションは、参加者から出た意見をグラフィッカーがイラストや文章で表現し、1枚の紙の上にまとめていく手法です。

話していることを背中で聞きながら、同時進行で描き上げていく様子は、さすがプロフェッショナル。

目の当たりにするとすごいです!

こちらは、話題提供のお話から起こされたグラフィックです。

文字だけで残すよりもわかりやすく、イメージがより具体的に湧きますよね。
何より、意見がイラストでどんどんまとめられていく様子が、見ていて楽しい!

意見交換の場も、自然と話しやすい雰囲気になっていきました。

今回は4つのグループそれぞれに、京都景観フォーラムの京都景観エリアマネージャー(エリマネ)がファシリテーターとして参加。
皆さんの意見をまとめながら、進行役をつとめました。

1時間半にわたって各グループがじっくりと話し合ったあと、最後に、それぞれのグループで出た意見を発表し、共有しました。

ここでも、グラフィック・ファシリテーションのイラストが威力を発揮。

各グループでどのような議論が行われたのかがわかりやすく、皆さん、新しい視点からの気づきを得たようでした。

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会議終了後、エリマネとしてファシリテーターを務めた青山さんに、意見交換の感想を聞いてみました!

京都景観エリアマネージャー 青山 優子さん

- ファシリテーターをしてみて、どんなことを感じましたか?

今回の討論では、さまざまな世代の方の意見を聞くことができたのが印象的でした。
話してみると、世代や環境の差によって、夜の景観に対する印象にギャップがあることもわかりました。
たとえば、明るい街の中で育ってきた若い世代の方は、明かりがなく暗い状態を「非日常」と感じますが、一方で上の世代の方は、その暗い状態こそが「日常」で、まばゆいばかりに照明がついたまちを「非日常」と感じたりしています。

しかし、じっくり話していくうちに、皆さんが大切にしたいと考えているものは、じつは一緒なのではないか?という結論に辿りつきました。
「どの世代にも共通しうる、街への“想い”がある」と気づけたこと。そして、そこに辿りつくまで皆さんでじっくり議論できたことが、とても良かったなと感じています。


- 青山さんが「京都景観マネジメント講座」を受講しようと思ったきっかけは?

私は現在、南丹市の美山で暮らしており、以前から建物の勉強をしていました。
しかし、ひとつひとつ個別の建物の勉強をするだけではなく、“まちなみ”という観点で学んでみたいと思うようになりました。
そんなとき、知人から進められたことがきっかけで、京都景観フォーラムの「京都景観エリアマネジメント講座」を受けてみようと決めたんです。
基礎講座を受けてみて興味が深まり、実践講座へ進んで、エリマネの登録を受けました。

同じく受講していたメンバーとは受講後も交流が続いていて、去年の6月には、美山での見学会も行いました。
またこうして、皆さんで集まれる機会があればいいなと思っています。


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エリマネのメンバーの中には、研修会で行ったグラフィック・ファシリテーションの手法を、ご自身のお仕事で活用されている方もいらっしゃるとか。

今回のような景観を考える場や、それぞれが関わっているコミュニティの中で、活躍の場が広がっていっているのが嬉しいです!

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■京都景観エリアマネージャー(エリマネ)はこんな活動をしています

▼【エリマネネット】研修会~城下町・彦根で過去と未来を訪ねる~

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▼京都景観エリアマネジメント講座って? ~インタビュー:京都のまちを知り、新しい世界を開く(1)~

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▼京都景観エリアマネジメント講座のご紹介(パンフレットのPDFもこちらから)

京都景観エリアマネジメント講座

 

文・写真: 土谷 真咲(京都景観フォーラム 広報チーム)